2009年7月15日 (水)

十万億土の距離

今日は7月15日、新暦の「お盆」です。12日の夜に「迎え火」を焚いて先祖の霊を迎え「供養」し、16日の夕方送り火を焚いて霊をお送りする行事です。この「お盆」と言う言葉は仏教用語でサンスクリットの「ウランバナ」がを中国で音写され「盂蘭盆」と言ったのに始まるそうです。「ウランバナ」は古代イラン語の霊魂を意味する「ウルヴァン」(urvan)が語源だとする説もあるようです。先祖の霊は普段どこに居るかというと、阿弥陀様が住まいする極楽浄土です。この我々が住む世界から十万億仏土、離れていると言われています。最近読んだ本、「冥土の旅はなぜ四十九日なのか」(柳谷 晃著)によると十万億仏土は1千京光年=10の19乗光年だそうです。我々の銀河系の端から端までが10万光年と言われていますから、幾つもの銀河系が含まれる壮大な仏教宇宙観です。柳谷さんの本は、このほか仏像が教える美の数学、除夜の鐘の108の意味など数学で読み解く仏教世界を紹介している面白い本です。お盆の間、先祖供養の傍ら紐解いてはいかがですか。

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2009年3月19日 (木)

南極からちゅら海まで

学究生活を40年続けている私の朋輩がこのほど「南極から美(ちゅ)ら海」までという本を上梓した。著者は東北大学にいる時、1968年に第10次南極Photo 観測隊、1972年の第14次南極観測隊として2度も南極に行き越冬している。この時の記録と1982年12月から10ヶ月間、文部省(当時)在外研究員として、また1992年3月から6ヶ月間日本大学から海外研究を命ぜられ世界各地を回った「旅」の記録である。彼の専門は自然地理学(地形学)と地球年代学であり、この本が旅の記録でありエッセイだとしているが、専門の該博な知識が随所にあふれ出ている。南極越冬記録でアイスレーダ(電波氷高計)を駆使し大陸氷の厚さを測ったり、氷河の移動を正確に測る三角形連ねた三角鎖を作りながら精密測量を行っていく。が、極低温で測定するアイスレーダが温度が低すぎて動かないとか、三角測量はWild-T2(経緯儀)で行うがあまりに寒く自分の吐く息で輪盤が凍って動かなくなるなど、苦労話も多い。だがこの本は沖縄の美しい海(ちゅらうみ)まで到達していない。南極から南太平洋-南米ー北米で終わっている。ヨーロッパとアジア-沖縄は第Ⅱ部だそうです。本のサブタイトルに「-エッセイとアルバムで世界をめぐる-」とあるように写真がとても美しい。素敵な旅の記録です、興味ある方にはアルバムとしてもお奨めです。

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2009年2月18日 (水)

またまた出た地図の小説

前に紹介した「地図男」につづいてまた地図を題材にした小説が出た。表題も「独白するユニバーサル横メルカトール」と地図そのものだ。作者は平山夢明氏で、光文社文庫から表題のほかに8編をおさめた短編集として刊行されている。私は表題に引かれて手にとってみて巻末の「解説」を読んだら、何と2006年度、第59回日本推理作家協会賞短編部門を受賞し、同年の「このミステリーがすごい!2007年版」でも年間ベストテン国内編の第1位に選ばれた、と言うので早速買って読んでみた。タイトルにあるように「独白」ですから地図帳そのものが喋るのです。その地図帳の持ち主であるタクシードライバーが客として乗せた女性客をきっかけで殺人者に変貌、またその息子の所業に・・・・・。ストーリーの詳細は、みなさん自信でお確かめ頂くとして、ともかく驚いたの一語です。それにしても「任意の一点と中心からの方位・距離が正確な正距方位図法を採択しております・・・」とか、地図は「<遮蔽>と<誇張>の二点に尽きると考えます。」など著者の地図に対する知見もすごい。私の読後感は、ミステリーと言うよりも猟奇小説に属するのではと思うが、擬古的なですます調で語っているので内容のわりにおぞましさは感じられなかった。

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2008年10月27日 (月)

地図男

 ひさびさに「地図」を題材にした小説がでた。しかも新聞の書評によると著者 真藤順丈 (しんどう じゅんじょう)は、「ダ・ヴィンチ文学賞大賞」、「第15回日本ホラー小説大賞大賞」、「第3回ポプラ社小説大賞特別賞」と2008年の主要な新人賞を3つも受賞した超大型新人と紹介していた。興味をそそられ早速、購入して読んでみた。物語は主人公が大判の関東地域地図帖を小脇に抱えた奇妙な流離者と出会う。これが「地図男」で、彼が抱えている地図帖にはびっしりと、土地ごとの物語が書き込まれている。書き込みは地図帳の余白では足らずたくさん付けられた付箋にもある。主人公は、その地図に記された無数の物語の断片を読みすすむ。小説で紹介されている土地とそこにまつわる物語は、千葉県北部を旅する絶対音感を持つ幼児の話、東京23区の区章をめぐる闘いの話と、奥多摩でのアキルとムサシの悲しい恋物語の3編だが、その背後に見え隠れする女の人と物語に隠されている「地図男」の謎にせまっていく。小説と地図に書き込まれた物語が「入れ子」のようになったなんとも不思議な読み物であった。

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2007年12月13日 (木)

怒る富士

 今いちばん夜が長い季節です。早く寝た晩など朝早く目が覚めるが、まだ外は真っ暗です。枕もとの灯りをつけて本を読むのが楽しい。小説などでも土木事業や測量をあつかったものに手がのびる。最近読んだ本には、新田次郎の「怒る富士」がある。今から約300年前、620年の沈黙を破って富士山が大爆発をした、いわゆる宝永4年(1707)の噴火である。内容に一寸ふれよう。時は五代将軍・徳川綱吉から家宣に移ろうとする時期である。大老柳沢吉保から伊奈半左衛門忠順(ただのぶ)に災害復興事業の命が下る。宝永の噴火で噴出された火山灰、小説の中では焼け砂とよばれる。伊奈半左衛門は、焼け砂で窮乏する農民の救済と、火山灰の堆積による酒匂川の氾濫という二次災害を防ぐべく立ち向かう。しかし新旧交代の幕府内の政争の中で、幕府の被災地への救済は遅々として進まない。半左衛門は幕府米五千俵を秘かに農民に与えようと奔走する。という代官、伊奈半左衛門忠順の生涯を描いた時代小説です。火山災害の描写も迫力があり、面白い小説であった。
 このほか今までに読んだ土木や測量をあつかった「小説」を本棚から引張り出してみた。どれも印象に残るものなので、リストにしてみました。

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